テレビ番組は、映像と音声の二つが重なっているメディアです。もう一つの大きな要素がテロップ。ドラマ以外の番組で、テロップの入っていないカットはないほど。テロップが入っているのは当たり前となっていますが、これ、日本独自に進化していったもの。今回はテロップの役割や効果についてご紹介します。
テロップとは
テロップとは、映像に入っているテキスト、文字情報のこと。バラエティ番組にも、報道や情報番組に、画面の上部にも下部にもサイドにもテロップが入っていて、1秒の隙間もなく、ほぼすべてのカットになにかしらのテロップが入っています。テロップの少ない番組はドラマやアニメくらいでしょうか。
これほどテロップが隙間なく、派手に入れているのは、日本が独自に進化させていきました。日本のテレビ番組を手本にアジア各国で作られるようになると、テロップの入れ方も真似するようになったようです。
テロップの役割
テレビが登場したのは、1953年。1955年ころから放送局が開局し、テレビの普及も進み始めました。テレビの創成期は生放送が多かったので、テロップの入っている番組はほとんどなかったのではないでしょうか。収録番組が増えるにつれて、難聴や聴覚に障害を持つ人たちにも伝わるように、しゃべっているところにはテロップを入れるようになっていきました。
このころは、テレビは娯楽の最たるものでしたから、テレビに集中して見るためテロップは聞きとりづらい人たちへの配慮だったと思われます。
テレビが各家庭に普及し、一人一台の時代へと生活にテレビが浸透するにつれて、テレビはなんとなくつけているものへと変わっていきます。一番の楽しみである娯楽から、生活の一部へと根付いていきました。そうなると、娯楽として見るテレビは集中して見ていますから見逃したり聞き逃したりはありません。しかし、何かしながらテレビを見ている、あるいは、聞いている状況だと、関心のある映像やワードが入ってきたときに、今、何を言ったんだろう?何について取り上げているんだろう?と、気になるときにしかテレビに集中しなくなります。知りたいときに画面をみれば、情報がテキストで読み取ることができる、というのがテロップの役割となってきました。
テロップの位置と色のルール
テロップは映像を額縁のように取り囲むように入っています。上位置には番組名やコーナーの企画名、下位置にはインタビューやコメントのフォローや、驚かしやキャッチな一言、サイドには人名や店名などの情報、と、決まりがあります。
入れる行数は2行、多くても3行まで。
一番目立たせるのは、下位置のテロップ。コメントやカットに合わせた情報が次々と出てきます。この瞬間出ている映像についての情報がわかるのが、ここの位置です。
テロップの大きさも下位置がいちばん大きく、キャッチーな一文は出し方も色もインパクトがあります。テロップを出す秒数は、文章が読み取れる秒数で、約3秒です。
上位置は、今、放送しているコーナーのテーマがわかるフレーズが書かれています。ベースやカラーは番組によってフォーマットが決まっています。
番組の内容がここのテロップでわかります。
サイド位置のテロップは、一番小さい書体で色も白に黒エッジと地味め。この位置はしゃべっている人の名前や場所などの情報で、視聴者にとっては積極的に知りたい情報ではないけど、まったくないと、これは誰?ここはどこ?と要らぬ疑問をわかせてしまう、基本情報の位置。
テロップの大きさが、以前よりも大きくなっているのは、テレビの視聴者層に合わせていることもありますし、テレビ画面が大きくなっているというテレビ自体の変化もあります。
テロップに句読点を入れないのは?
基本的にテロップには句読点をいれません。コメントフォローをみても「、」や「。」は入っていませんよね。それは、区切りのいいところでテロップを切り替えているので、入れる必要がないからです。
テロップが切り替わるタイミングが、句読点の打ちどころになっているわけです。
「、」や「。」が入っていると、画面が見づらくなったり、それがテロップなのか、それとも映像にうつっているものなのか、分かりづらかったりすることがあります。
混乱を避けるために、入れないのかもしれません。
テロップを入れる意味は・・・
テロップはそもそもは聞き取りづらい音声を補足するものでしたが、今は、ながら見をしている人に正しい情報を伝えるための役割を担っています。見て・聞いて・読ませる、という3つが合わさって、ようやく視聴者の認識レベルに到達するわけです。
ことばは常に変化しているのですが、特にしゃべりことばは本来の意味とは違う使われ方をしたり、新しい言葉が登場したり、が日常的に起きています。本来の意味とは違う使われ方をしているけど、そのコメントを使いたい場合、テロップで修正することが可能です。一般の人たちが町なかや店でインタビューを受けたり、密着されたりする番組が増えたため、そうした言葉の使われ方の軌道修正をする、という役割も追加されました。
テレビ番組はYouTubeと違い、気になることがあっても後戻りして見直すことができません。視聴者が見た瞬間に、違和感を感じさせてはならないのです。そのため、テレビ番組では、テロップのチェックも念入りに行われています。収録番組であれば、誤字があれば修正する時間がありますが、生放送では気づいたときには放送されていた、ということがあります。その場合、訂正を入れるというルールもあります。
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